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ナナメ読み日本文化論|読書ノート #111, 2023

読書ノート #111, 2023

■ナナメ読み日本文化論
 名著25冊で読み解く日本人のアイデンティティ
 (中野 明)

 

 

Takahiro
❝「不完全の美」と「恥の文化」❞
 

※ひとことPOPは書籍からの学び・気づきを想起するための個人的備忘です(^^)

2023.10.31 読了|図書館本|2023年 111冊目


読んだ理由


池上彰氏、佐藤優氏による『無敵の読解力』(2023-#105)を読んで、
ルース・ベネディクト菊と刀』に興味を持った。
その『菊と刀』を読む前に、
そもそもの日本人像を考える機会にと思い、
客観的に日本を理解するための一助として
本書で手っ取り早く名著をナナメ読みした。

読後感想


日本、日本人、日本文化とは…?
そう聞かれて澱みなく答えられる解を持っていない。
まるで自分のことを理解していないようで、どうももどかしい。

「はじめに」で触れていたとおり、
寓話「暗闇の中のゾウ」のごとく、
その正体を把握することが難しい日本文化を
多様な角度から見ていくことで、
少しでも理解を深められたらと思ったが、
そうやすやすと正体を表してくれない(笑)

それでも本書において、
著者が考える一般教養としての
日本文化論名著25冊に触れることができたことは参考になった。

和辻哲郎風土』や梅棹忠夫文明の生態史観』のように
立地的要因に基づく観点は、これまで知らなかっただけに面白かった。
前者では、日本は3区分中「モンスーン域」にあたり、
その風土がもたらす人々の性質は受容的で忍従的である…と。
後者では、ユーラシアを東西両端の第一地域と、乾燥地帯を含む第二地域に分類し、
乾燥地帯の遊牧民による暴力と破壊から免れた第一地域、
つまり西ヨーロッパと日本では高い文明が成立した…と。

なかでも、外国人から見た日本論は、
日本の特異性を好奇の目で見ていることからも大変興味深い

ドイツの哲学者オイゲン・ヘリゲルが
弓道を通じて体験した禅の思想を書いた『弓と禅』の一節が
日本文化を知ることのヒントになるような気がした。

「いき」や「不完全の美」など知れば知るほど日本文化は奥が深い。
ヘリゲルが弓道の極意を体得するにあたって、
身をもって知るべきことを知識として理解しても仕方がないと悟ったように、
日本文化は、禅でいう「不立文字(ふりゅうもんじ)」、
言葉によらず体験して体感で知ることが相応しいのだろうと感じた。

せっかく日本文化に興味を持ったのだから、
身の回りにあふれがちな西洋文化と比較しながら、
今まで以上に日本文化を意識する時間を増やしてみたいと思う。

心に残った一節

 

弦の引きだけで1年の修業を要したヘリゲルは、次に「放れ」の段階に向かいます。
ヘリゲルは意識的に弦を放すのですが、師匠は、右手を故意に開くな、と指導します。(中略)またしても矛盾です。まるで禅の問答です。またまたヘリゲルは途方に暮れ、試行錯誤します。しかしヘリゲルはやがてこんな思いに至りました。

しかし経験だけが教えうるものを、何ゆえ思想の中で先取りしようとするのであろうか。これはこの不毛の性癖を捨て去る大切な時ではなかったであろうか。

(中略)ある日、ヘリゲルが一射すると師匠は丁寧にお辞儀して稽古を中断させます。(中略)…師匠の言葉と態度から、「放れ」ができたことを自覚します。

(2.日本人のメンタリティを探る オイゲン・ヘリゲル『弓と禅』)

この本から得た学び・気づき・実践したいこと

 

Takahiro
日本文化は体験して体感で知る
 

 


 

書籍紹介

「武士道」から「禅」まで、
日本文化論の名著24冊を100字要約&やさしい解説、図解で総ざらい!
グローバル社会だからこそ知っておきたい日本人としてのアイデンティティー。
外国人に自国のことを尋ねられたときに「恥」をかかないための一冊。

【Chapter1】日本文化を世界に発信した三大名著
【Chapter2】日本人のメンタリティを探る
【Chapter3】日本風土の特質とは何か
【Chapter4】日本の美について考えてみた
【Chapter5】日本人と日本社会を成立させるもの
【コラム】外国人が見た明治のニッポン

Amazon より引用)

著者紹介

中野 明(なかの・あきら)

1962年滋賀県生。
ノンフィクション作家。同志社大学理工学部非常勤講師。
1996年に『日経MAC』誌上に短期連載した記事を『マック企画大全』(日経BP社)として出版後、当初は情報通信関係の書籍を中心に執筆。
情報通信、経済経営、歴史民俗の三分野で執筆を続ける。

著作に『裸はいつから恥ずかしくなったか』『世界漫遊家が歩いた明治ニッポン』(以上、ちくま文庫)、『ナナメ読み日本文化論』(朝日新聞出版)、『腕木通信』(朝日選書)、『IT全史』(祥伝社)、『東京大学第二工学部』『物語 財閥の歴史』『幻の五大美術館と明治の実業家たち』(以上、祥伝社新書)、『流出した日本美術の至宝』(筑摩選書)など多数。
また近著に『日本美術の冒険者──チャールズ・ラング・フリーアの生涯』(日本経済新聞出版)がある。

Amazon より引用)

 

ja.wikipedia.org


2023.10.31 読了|図書館本|2023年 111冊目

 

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