1970年大阪万博の時代を歩く|読書ノート #120, 2023
読書ノート #120, 2023
■1970年大阪万博の時代を歩く
戦災からの復興、高度経済成長、そして万博へ
(橋爪 紳也)
※ひとことPOPは書籍からの学び・気づきを想起するための個人的備忘です(^^)
2023.11.20 読了|所有本|2023年 120冊目
読んだ理由
本棚整理中にたまたま発見した一冊。
以前受けた「なにわなんでも大阪検定」の参考書籍として購入したもの。
ちょうど2025年大阪・関西万博の開催是非について
盛んに問われているなかで興味を持ち読んだ。
読後感想
本書の前半は、大阪の戦後復興と高度経済成長に関して記されており、
後半は、会場の様子も含めて、1970年大阪万博について紹介されている。
生まれる前なので大阪万博そのものは知らないが、
当時の映像や万博記念公園、太陽の塔を見ると、
その影響力の大きさがよくわかる。
*大阪万博は四度目の正直
1970年大阪万博が開催されるまで、三度開催のチャンスがあったようだ。
最初の提案は1890年の「亜細亜博覧会」。
二度目は1912年に「日本大博覧会」の開催を目論むも、財政難で立ち消え。
そして三度目は1940年の「紀元2600年記念日本万国博覧会」として、
東京にてオリンピックとの同時開催を目指すも、
戦争の影響による世界情勢の悪化で無期延期となってしまった。
1964年の東京オリンピック開催が決まって、
同じように万博も開催しようという気運が高まり、
晴れて1970年に大阪万博開催となった。
日本が右肩上がりの成長期で
並々ならぬ活力が生まれていた時期だったというのもあるが、
今とは比べ物にならないくらい注目度が高かったんだろう。
「四度目の正直」で開催できた悲願の万博で
6400万人が訪れたという熱狂ぶりは想像を絶する。
*万博がもたらしたもの
万博というと目玉展示が話題になる。
1970年大阪万博では「月の石」、
2005年愛・地球博では「冷凍マンモス」が注目されたが、
2025年万博でも注目を集めるモノが出てくるかもしれない。
ただ本当に注目したいのは、
万博を機に何が生まれ、何が実用化されて、
生活を便利に変えていくか?ということ。
本書によると、大阪万博では、
アメリカ館の技術が東京ドームに活かされたり、
警備員、ピクトグラム、ファストフードなど
今や当たり前となっているものが導入されている。
「自然との叡智」をテーマに開催した愛・地球博は
大阪万博と比べるとインパクトは弱いものの、
環境意識への高まりにも貢献したのではないかと思う。
さて大阪・関西万博を機に
2025年はさしずめ「空飛ぶクルマ元年」となるだろうか?
***
さて、現時点で大阪万博に費やされるお金はどんどん膨らんでいる。
東京オリンピックで湯水のように大金が投入された反省を活かせるか?
インフラが残るだけではない価値をいかに見えるものにできるか?
その先に還元される技術や生活など(カジノのことではない)
将来のリターンが期待できる「投資」と思えるかどうか?
それらが問われているような気がする。
日本に勢いがあった70年万博を
懐古的に再現するのを期待するのではなく、
2025年万博が日常生活にどんな新たな価値を生み出すのか、
何がレガシーになるか注目して考えてみたい。
心に残った一節
大阪万博は東西冷戦のさなかに開催された。(中略)
冷戦下において、両大国の威信をかけて行われたのが宇宙開発である。(中略)
1970(昭和45)年の万博で、両国のパビリオンは、それぞれの宇宙開発の成果を展示した。(中略)
なお、アポロ12号に登場した3名の宇宙飛行士が、ニクソン大統領の特使として万博会場を訪問し、アメリカ館で自分たちがもち帰った「月の石」と対面した後、記者団の質問に応じて、ソ連館を見てみたいと答えた。予定にはなかったが、ソ連側は快く受け入れた。冷戦下における親善訪問として話題になった。
(第3章 ここがすごかった!大阪万博 P.78-79)
この本から得た学び・気づき・実践したいこと
書籍紹介
今秋に迫った2025年万博候補地の決定。
ふたたび大阪万博誘致に向けて、いまこそ知りたい「あの時代」の熱狂――。
なぜ、1970年大阪万博は戦後の一大プロジェクトとなり、
史上稀に見る大成功をおさめたのか?
2018年「なにわなんでも大阪検定」公式参考書籍
もくじ
1章 戦後復興に邁進する大阪(1945~50年代半ば)
2章 高度経済成長と万博への道(1950年代半ば~70年)
3章 ここがすごかった! 大阪万博
4章 万博以降の大阪イベント物語(1970年へ)
(Amazon より引用)
著者紹介
橋爪 紳也(はしづめ・しんや)
1960年大阪市生まれ。大阪府立大学研究推進機構特別教授。大阪府立大学観光産業戦略研究所長、大阪府特別顧問、大阪市特別顧問。京都大学工学部建築学科卒業、大阪大学大学院工学研究科博士後期課程修了。建築史・都市文化論専攻。工学博士
(Amazon より引用)
2023.11.20 読了|所有本|2023年 120冊目
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